フィナンシャル・タイムズが支援するニュースサイト「Sifted」がPIANOを採用し、ペイウォールをローンチ
PIANOのクライアントのフィナンシャルタイムズ(日本経済新聞傘下の英国救済紙、以下FT)が支援する、欧州のスタートアップ ビジネスニュースサイト「Sifted」が、発足から2年になる現在、読者とのより強固な関係性構築と、安定した収益獲得に向けペイウォールをローンチし、有料化に踏み切りました。
Siftedは2019年1月末、欧州各地の起業家や投資家の中から、特にFT読者ではない若いビジネスパーソンをターゲットにローンチしました。読者の約半数が34歳以下であり、FT読者の平均年齢を下回ります。
共同設立者であり、FTイノベーションズの編集者でもある、Sifted編集長のJohn Thornhill氏は、Press Gazette誌に次のようにコメントしています。「当初の目的は、この世界で可能な限り多くのオーディエンスを獲得することでしたが、それは信じられないほど成功し、素晴らしいフィードバックをいただいています。現在では、ヨーロッパのスタートアップコミュニティの起業家と投資家にとって、必読の書となっていると自負しております。編集部としても非常に満足のいく結果です。」
Webサイトには67,000名のニュースレター配信登録があり、今後はその登録者との関係を深めたいと考えています。2020年のユニークビジター数は約5 百万でした。
Siftedの最大株主はフィナンシャル・タイムズ社ですが、タクシーアプリ「Hailo」の共同創業者であるCaspar Woolley氏がCEO兼共同創業者として率いるチームが独立して運営しています。
Siftedは、FTから25%の出資を受けると共に、スタートアップ分野に関心のあるエンジェル投資家の支援を得て立ち上がりました。その後、広告・ニュースレターのスポンサー・特別レポート・ウェビナーなどで収益を上げています。
Thornhill氏はこう続けています。「私たちは、従来のメディア収益モデルにより、非常に優れた商業収入を得てきましたが、FTが何年も前に結論付けているように、これらは非常に不安定な収入源であるため、できることならば、サブスクリプションサービスへ移行すべきなのです。収益が予測可能かつ安定化するだけでなく、読者との関係性も強固になるという点から、Siftedでもサブスクリプションモデルを確立すべく動いていました。」
Siftedは、パブリッシャーのデジタルビジネス構築を実現するPIANOや、サブスクリプションビジネス基盤を構築をサポートするFT戦略チームの協力を得て、現在に至ります。
同サイトでは現在、月額19ポンド(約2900円)、年額149ポンド(約23000円)、プレミアム会員年間費が449ポンド(約70000円)のメンバーシップを提供しており、プレミアム会員の特典には、近日リリース予定のSifted Proへのアクセスが可能となります。Sifted Proとは、スタートアップビジネスの市場データ・インサイト・分析をオンデマンドで提供するサービスです。
Siftedのすべてのコンテンツが有料化されるわけではなく、今後も日々無料コンテンツが公開される他、すべてのニュースレターは無料のままとなります。
「会員限定コンテンツや、より掘り下げたルポ、メンバー限定のイベントが予定されています。これは音声アプリClubhouseを使用した、オーディエンスとの双方向のコミュニケーションが可能になるものになるかもしれません。」とThornhill氏は述べています。
Thornhill氏によると、ペイウォールのローンチ後2週間足らずで、すでに数百人の会員登録者を獲得しており、年末までには数千名の会員獲得を目指しているということです。
また、Thornhill氏は次のようにもコメントしています。「多くの読者たちが私たちを積極的にサポートしたいと考えているようです。彼らはSiftedのようなニュースサイトを待ち望んでいました。だから惜しみなく課金をするのです。私たちにとっては願ってもいないことです。サブスクリプションビジネスを構築し、安定した収益モデルが確立するまでは、通常多くの時間を費やす必要があることは承知していますが、ローンチ後の読者のリアクションは極めて順調で、とても満足のいく結果を出せています。」
FTの元マドリッド支局長でパリ特派員のMichael Stothard氏が率いるジャーナリストたちは、発足時の5名から、現在は11名に増えています。
そのうちの5名がロンドン、2名がパリを拠点にしている他、ストックホルム、バルセロナ、ブカレスト、ベルリンに各1名在籍しています。英国以外のヨーロッパ諸国に住むオーディエンスが全体の63%を占めています。
「EU離脱がどのように影響するかは、まだはっきりとはしていませんが、非常に興味深いテック企業の第2世代がヨーロッパ中に現れ、様々なテクノロジーがロンドンのトップの座を奪い合う現在は、このサイトにとって良い機会になるのではないでしょうか。」と最後にThornhill氏は述べています。
(原文記事はこちら)